コラム

設計競技方式(デザインコンペ)の勧め

小澤 一雅 東京大学大学院工学系研究科 特任教授

2021/05/25  設計競技方式(デザインコンペ)の勧め

公共空間や公共施設の価値は、豊かな暮らしを実現すること

街路、公園、駅前広場、水辺、河川空間、ダム施設、橋梁、海岸・港、公共交通施設、ストリートファニチャー、照明デザインなど、人々の暮らしをとりまく公共空間や公共施設の価値は、豊かな暮らしを実現することにあります。便利な施設、居心地の良い空間、安全・安心な暮らしを実現するために空間や施設の整備やリノベーションが行われます。これらの価値は、空間や施設のデザインとその実現プロセス、さらにその運用方法によって決まります。

個々の公共空間や公共施設のデザインに求められるものは、全て異なる

個々の公共空間や公共施設のデザインに求められるものは、その場所に積み重ねられた歴史と利用する人々が異なるため、厳密に言えば全て異なると言えます。その場所、その時に求められる公共空間や公共施設のデザインに求められるものを丁寧に紐解き、その質を高める努力を惜しまず注ぐことが公共発注者には求められているのです。

公共空間や公共施設のデザインの質を高めるには、どうすれば良いか

では、公共空間や公共施設のデザインの質を高めるには、どうすれば良いのでしょうか?過去に質の高い公共空間や公共施設を実現できているとして表彰された事例を分析してみると、通常とは異なるデザインの検討プロセスや多様なアクターが参画する会議体が設置されたり、デザイナーの調達方式にも工夫が見られたりすることが明らかになっています。

設計競技方式(デザインコンペ)は、質の高いデザインを実現するためのガバナンスツールのひとつ

質の高いデザインを実現している事例の中には、設計競技方式(デザインコンペ)を上手く活用している事例が数多く見られます。その導入にあたって、従来の公共インフラ事業と異なる検討プロセスやアクターの参画が見られる事例もあります。設計競技方式(デザインコンペ)は、質の高いデザインを実現するための新たなガバナンスツールのひとつであり、このツールの活用により、公共空間や公共施設に魅力を与え人々の暮らしを劇的に生まれ変わらせることも可能となるのです。